トゥルムのジャングルに差し込む強い日差し。その光をいかに受け止め、いかに制御するか——「Palma y Arco」は、その問いから始まった建築のように見える。
このブティックホテルは、モロッコ建築の構造的語彙を基盤にしながら、トゥルムという土地の気候と文化に応答するかたちで設計されている。単なる意匠の引用ではない。ここで行われているのは、異なる文化圏の空間原理を、光という媒介を通して結び直す試みだ。
“Arco(アーチ)”は、この建築の核となるモチーフである。連続する曲線はファサードや回廊に秩序を与え、同時にトゥルムの空を断片的に切り取るフレームとして機能する。
朝は淡く、昼は鋭く、夕刻には長い影を落とす。その移ろいは壁面に陰影のレイヤーを描き、建築を静的な存在から、時間とともに変化する立体的な装置へと変える。モロッコ建築に見られるアーチのリズムは、ここではより抽象化され、過度な装飾を排した幾何学として再構成されている。その結果、異国趣味ではなく、普遍的な静謐が立ち上がる。